出版(8月)-4

65歳で退職し、さて何をしようかと、1年間漂った男の記録を書いています。

1年間の月ごとにメイントピックを決め、そのテーマに沿って前後の月も含めて

経緯を記しています。

8月のメイントピックは「出版」という事で、その始まりから書いていましたが

とても前置きが長くなってしまいました。

やっと、本来の7~8月、生活の中心が「出版」だった夏に、移ります。

契約を決め、3回の分割払いを選択し、最初に払い込んだあたりに、今後の出版までの流れについて書かれたものが送られてきました。

もとより、自分の書いたものが、世間に知れ渡り、たくさん売れるなどとは、片隅にも

ないといえばうそになりますが、こうやって書類が送られてくると、出版の体験をさわりでも味わえる事が楽しいと感じました。

こんな事でもなければ、一生、目にする事も無い世界でしたから。

一度作った原稿は手元にあります。

まず、これを読み直してみる事から、はじめました。

コンテストの締め切りもあり、慌てて提出した原稿です。

誤字はあるは、おかしな文章や書き換えの箇所など、これでは当選はしないと

いう箇所はたくさんありました。

自分で作ったものでも、丁寧に読むのは骨が折れます。

まず、全体のテーマを自分史の部分を中心にするか、コンピュータの歴史ないしは

解説を中心にするか。

読者はどんな人を想定するのか。

最初は、自分と同年代さらに、同じような職歴の人を考えていました。

その後で、ITはこれからの部分もあるので、これからその職種に向かうかもしれない若い人を想定しました。

また、出版社自体が、小説などを中心としているので、あまり技術中心に書いても読まれないとも考えました。

また、自分自身、コンピュータの話を書くのだけど、文系出身でもあり、技術の最先端にいたわけでも無く、むしろ技術と社会の接点にいて、そこに関わる人間を描きたいと思っていました。

書きたいものが、人に読まれるものとは異なります。

テクノロジーをテーマに描くけれど、読者はむしろあまり詳しくない人も多く含む。

であれば、わかりやすく書かなければならない。

出版社の方には、セクションごとに、専門用語を詳しく説明するコーナーを設けてはともアドバイスされました。

でも、説明を見ながら、本文を読むのも大変なので、図を入れたり、本文の中でできるだけわかりやすく丁寧にかみくだいていくしかないかと考えました。

考えてみるとコンピュータって古くて新しいテーマなので、その中に、変わるもの、変わらないものが含まれます。

そのあたりを、うまく書けば作品の軸になり、メリハリがつけられるかとも思えました。

ハードウェアとソフトウェア、ハードウェアの中は、入力装置と出力装置があり

その間に装置の収穫部分である演算機能(CPU)がある、CPUには記憶装置が

繋がっている。

これを冒頭に図で入れました。

このそれぞれの機能は今に至っても変わらないけれど、装置の中身は大きく変化します。

文系人間と言う立場を生かして、技術と社会、人間とのかかわりをどう表現するか。

単なる技術史ではなく、いかに奥行きや広がりを示せるか。

現在に至る課題と問題提起、過去にさかのぼってその始まりを示せないか。

序文と本文、後書きでその構成を明確にする事を考えました。

また、その変化の節々で、自分にはどんな影響があったのか。

どんな感情をいだいたのかも表現出来たらとも思いました。

そんな事をあれこれ考えていたのですが、出版社からはあまり連絡が来なくなりました。

契約が済んだら、放りっぱなしなのか?

何だか不安になりました。