調査・研究?(11月)-2

11月のテーマは、「趣味」として書き始めたが、趣味を語れるほど深入りした事は

ない。

しかしリタイア後の生活の目標と軸として、出版があり、その背景には、調べる事が

好きだという事があった。

いままで何となく気になっていた事をリタイアを機に、深く掘り下げたいと考える人は

少なくないだろう。私は、毎日図書館へ通う事が、仕事に替わる日課になった。

それを「調査」という言葉で表現してもいいのかもしれない。

ただ、何の目的もなくただ調べるでは意味を感じない。

何かの方向性があって、最後には調査した事をまとめたい。これを何というか。

「学ぶ」とも少し違う。誰かの後追いではなく、自分のオリジナリティー、世の中に

無かったものを新たに生み出す事、これを少し大げさではあるが自分の中では「研究」と表現するようになった。

出版という真似事だが、一つの成果を生み出した。その中で自分の仕事を通じた人生をまとめた。

その中で自らが関わったITの世界に対する見方や気づき、考えたかとを軸にこの1年興味にまかせて掘り進んだ。

だいがくの研究室とは違う現場からの気づきをベースにした調査であった。

またITもよくある開発者の立場からではなく、利用者としての気づきにこだわった。

19年の4月に退職後、まず考えたのは自分は何を知りたいのかという事。

自分の思いとその背景になっているものを見つめる事から始めた。

自分はITを仕事としてきた。これだけだったから今の時代デジタルと言い換えて

ある意味、目立つ部分があるかもしれない。

しかし自分が始めたのは、40年も昔の話、決して最先端ではない。

しかも、文系で、意図せず、この仕事にぶつかった。

にも拘わらず最初からシステム開発に携わった。

ただ当時から、ソフトウェアの世界は、ホワイトカラーでもブルーカラーでも無く

グレーカラーと呼ばれていて決して華やかな世界ではなかった。

同期入社でも営業に配属された仲間は、各地を飛び回り、銀座で交際費を使っている

間、こちらは、プログラムのミスに追われ夜遅くまでマシン室と机の往復に終始。

職場内でも、中途半端な技術力なのか、開発の本流ではなく、社内の利用部門との

やり取りや、パソコンの普及に伴い社内への講習会や、PCの発注などのむしろ

ITを利用する側の仕事にシフトしてゆき気が付けば、ITの中心から少し外れた位置で40年過ごし65歳まで過ごしていた。

そういう少し屈折した思いが背景にあるのかもしれない。

ただ、そこからしか見えないものがある。

システムの開発からはじまり、PCの導入など、ITの利用の側面、最後には教育の

現場までITの周辺を幅広く経験させてもらい幅広く物事を見る事が出来た。

この40年、ITの周辺に居続けて、その変遷を見続けてきた。

自分は、システム開発からいち早く外れてしまったが、その後、社内から開発業務は

アウトソースされ、情報システム部門全体が、PCの発注部門のようになってしまい技術力を失ってゆく。

これは、自分の会社だけではない事は、容易に理解できた。

コスト削減の中で、間接部門としての情報システム部門が、経営者からいかに軽視されてきたかを実感してきた。

ほぼ平行して、日本自体の衰退が見えてきていた。

この関連についても、考えない訳にはいかなかった。

ただ、その事を明快に理論づけて説明ができない。

それが、この「調査」という行為のきっかけであった。

何を調べたかったのか、何を知りたかったのかと問われれば、こういう事だったのかと考える。

この為に、関係ある本を読み漁る事から始めた。