就職(12月)-3

緊急事態宣言下の霞が関は人気が無く閑散としていた。

しかし、地下鉄は、座れるほどすいてはいるが、通常どおり営業していて、

面接も予定通り実施された。

もちろん中央省庁に入るには、守衛に面接に来た事情を話した上で入館すると

いう、これはいつものことだが緊張感が漂う空間ではあった。

IT出身で、非エンジニアというねらい目に官庁を選ぶのは、行政のIT化は

専門家が内部にいないために外部のIT企業に依存せざるを得ず、その間に

IT企業と交渉できる程度の知識を持った事務屋が介在するのではないかという読み

もあったからだ。

面接はほとんど順調に進み、二次のより上級の官僚による最終段階で、この状況下で

面接を実施せざるを得ない事の説明と謝罪を踏まえ、専門的というより、心構えを

確認するような質問が続く。

その中で、公務員としての留意しなければ行けない事について聞かれたのに対して

、本当は国民への奉仕や、税金で雇用されている故の公平性や、行政のデジタル化への

理想をい語ればよかったのだが、仕事である限り前職と特に異なるとは感じませんと

言ってしまった。

この言葉のせいかどうかはわからないが、残念な結果となってしまった。

またしばらく落ち込んだせいか日記にはこの事の記録が無く、ほぼ記憶に頼って

この部分は書いている。

日比谷公園、銀座をとおり有楽町から帰った時の、異様な静けさは良く覚えているが。

 

 

就職(12月)-2

退職した年の9月一旦、就職活動はその方法において限界を迎え、中断する。

ありがちな事だけれど、リタイア後の再就職はその人毎に異なる理想と、世間ほぼ

共通の現実の間で揺れ動く。

9月までの終活は、理想のまま突っ走ったと考えていた。

同じ業界の中から自分の都合で近隣に所在し、自分にむいていると思われるトップに

向けて手紙を送り付け、求人も無いのに顧問格での採用を求める無謀なものだった。

その後、ハローワークを通した地道な終活を重ねても結局は年齢ゆえに、就職先は見つからず、最初の無謀な試みも、事前に準備して狙いを定めれば、むしろ今のやり方よりは希望と一致する確率は高かったのではないかという気がするほど、その後の終活は

難航した。

まず、自分の出自であるITにこだわった事が、門戸を狭めた。

しかも、ITエンジニアではなく、事務職であるというところがさらに、難しく

それこそCIOを探すしかないと思われた。

私は過去のこららの右往左往をノートに細かく書き留めていて、今読み返すと再び

就職に向け、具体的な動きが残っているのは、退職翌年の2020年3月初旬になる。

面接日が3月なので、ハローワークに通い申し込み、1次選考を通過した事などを

考えると、実質的なスタートは1月頃だと思う。

最初のチャレンジは都内のある区の教育センターで小学生向けのプログラミング教室の講師だ。

これには、自分なりにピンときたものがあり、是非受かりたいと面接に臨んだが

なにせ子供に接するのは苦手だし、いまさらプログラミングというのもあって

面接では自分でだめだったとすぐにわかった。

ただ週2日というのは、収入が少なくとも魅力であった。

次の魅力ある仕事が見つからず、方向性を見失ったので、アドバイスを得るため

東京都のしごとセンターに向かう。

たまたま担当者がPMOであり、事務系のIT経験者としての可能性も示唆して

もらった。

当面のアプローチとしては、事務とエンジニアあるいは、SIerとのつなぎの仕事は

あるのではないかという事で、ハローワークの求人検索ページを2日に一度は

見るように勧められた。

当面のアプローチは、小学校のICT支援員、そしてパソコン教室の講師とした

次に見つけたのは、中央省庁での情報システム専門官これも書類選考は通過し

コロナ禍で閑散とする霞が関に、面接のために向かった。

 

 

調査・研究(11月)-5「特別編」

 今回は、今まで述べてきた1年以上にわたる調査・研究の成果まではいかないが

中間のまとめを掲載したい。

 今後はいったん整理したこの構成の中で足りないところを広げ、また深めていく

指針にしたい。

        日本経済の停滞とIT化の遅れについて

                                  2021.1.11

1.現状と本稿の目的

  現在のコロナ禍においてIT化の遅れはようやく共有認識となりつつあるが、ここ

 20~30年にわたる日本経済の停滞についてはすでに周知の事実となっている。

  また、この両者の関連についても多くの識者が指摘するところである。

  本稿の目的は、この両者の関係を具体的に示し、またIT化の遅れについてその

 全体的な構造を提示し、さらにその隘路から抜け出すにはどうすれば良いか、試案を

 考察する事にある。

  もちろん日本経済の停滞は、IT化に乗り遅れただけが原因ではない。

  IT化と並び、現在に至る日本経済を取り巻く環境を、全体として意識し、

 決してITだけに結論を結び付けず全体をバランス良くみていく事も心がけたいと

 思う。

2.分析

  この30年の停滞は、かって日本をリードした半導体産業等の復活を求めるのでは

 なく、それらに代わる新たな産業が現れ、主役が交代して、産業構造が刷新され

 なかった事にあると見立てている。

  中国、韓国、ASEANなどかって日本の後塵を拝した国が製造業において日本に追い

 つき追い越そうが、アメリカのように土俵を変えてなぜ勝負できなかったのか。

  その事を追いかけたいと考えている。

(1)IT化と経済停滞の関連

   ものづくりとしての製造業にこだわりIT革命の波に乗り切れず、産業構造の

  転換・高度化を実現できなかったことにつきる。

   この事を数字として表しているのが、日本全体の生産性の停滞である。

   ここでいうITとは産業全体のどの部分を言うのか。

   ここではソフトウェア産業を他の製造業とは分けて取り上げる事とする。

   コンピュータそのものの製造もハードウェアとソフトウェアが組み合わせでは

  あるが、製造業として考え考察の対象からは外す。

   またIT企業(ソフトウェア産業)を考える前に、一般企業におけるIT利用

  を相互に関連する大きな要素として考察する。

(2)一般企業におけるIT利用の遅れ

   かってソウフトウェアは、各企業の情報システム部門がそれぞれ技術者を

  抱え内製していた。

   ここでの問題の一つは、各企業が業務システムをその企業固有の業務プロセスを

  個別にソフトウェアとしてシステム化した事にある。

   アメリカでは、大型コンピュータのシステムなどもパッケージ化が進む中、日本

  では企業独自の文化や業務の仕組みにこだわりコンピュータシステムについても、

  企業ごとに大きな違いの無い給与計算や会計処理などもそれぞれ別個に作成

  された。

   またコンピュータ化に伴って行われるべき業務プロセスの改善などが行われず、

  現行の業務プロセスをなぞったシステム化がなされる事も多かった。

   本来、あるべき生産性の向上の多くは完全に達成されなかった上に、各社で同様

  のシステム化の作業が行われ日本全体では多くのエンジニアの作業が重複して浪費

  されたとも言える。

   日本の独自の企業文化へのこだわりと、同じITという職種での企業間での移動

  が少なかった事と関連があると思われる。

   さらに大きな問題として焦点を当てるのは、一般企業における情報システム部門

  の弱体化である。 

   バブル崩壊後、経費削減が実施される中、間接部門として、IT投資のカット

  専門技術者の採用などが縮小され、固有システムの継承維持が社内でできなく

  なった情報システム部門は、システム開発・運用を外部にアウトソースする事が

  多くなった。

   ソフトウェアは一般に、完成した後も制度変更や、業務プロセスの変化を反映

  し延々とメンテンナンスを繰り返さなければならない。

   開発者以外が、メンテナンスを実施する場合、ソフトウェアの修正には多くの

  工数がかかる。

   ソフトウェアは、一般の製造物と異なり、標準化が難しく、言語をベースと

  した著作物に近い側面を持つ。

   ソウトウェア開発・運用を外部に出した場合、運用先を変更する事は難しく

  委託先のIT企業に依存度は高くなり容易に変更する事ができない。

   委託先の企業だけでなく、担当者も固定される事が多い。

   受託先にしても、担当者を固定する事はコスト要因になり、経費は増大するが

  委託元の一般企業は、この経費増を拒否しづらくなってゆく。

   一般企業では、こうして内部のIT技術力は細ってゆき、弱体化して、社内の

  業務効率化を先導すると言うよりパソコンの購入部門のようになっていく事も

  多かったと思われる。

   内製していた時代でさえ、業務部門と情報システム部門との力関係で、業務

  プロセスの改善まではなかなか手が付けられなかったが、開発主体が外部に移り

  内部の技術力が細った中で、業務プロセス改善まで含んだ本格的なシステム開発

  さらに遠のいていった。

   委託先のソフトウェア企業への社内ニーズの反映も、開発結果のチェックも十分

  にできなくなり結果として、成果物の経費が増大する割に、会社の経営に大きく

  寄与する質の高いシステム構築の比率は減っていったと思われる。

   むしろ、予算的にも人員面からも、新規のシステム開発には手が届かず、既存の

  システムの維持が精いっぱいになってゆく。

   経営者から見れば、情報システム部門は、間接部門でありながら、多大の経費が

  かかる割に、目に見える効果は実現できない部門と移り、予算や人員はさらに

  減ってゆくと言う悪循環に陥っていった。

   最近、話題になった経産省のレポートにある「2025年の崖」と言う言葉だが

  完成後数十年たったシステムに日本の多くの企業が依存し、そのシステムが古い

  故にメンテナンスできる人材が社内どころか世の中から消えていくという恐ろしい

  予測がなされている。 

(3)IT開発体制と産業としてのIT(ソフトウェア・サービス)

   一般企業がソフトウェアの内製から、外部委託に切り替えていくという変化は、

  受託するソフトウェア企業にとって永続的な顧客を得るという意味では有利な話

  ではあった。

   しかし、作成したソフトウェアは一つの顧客でしか使われず、そのソフトウェア

  のメンテナンスのために担当者を固定しておくという開発効率が悪く利益が出ない

  仕組みに依存する事にもなってゆく。

   経費を削るため業務を階層化して、仕事の一部を徐々に、さらに単価の安い

  下請け業者に下ろすようになり、こうして階層は2重化、3重化と建築業界のように

  多重下請け構造ができあがっていった。

   ユーザーニーズの反映からはさらに遠い形になり、システム開発は、細かく分解

  され、全体は見えにくくなってゆく。

   階層が深くなるほど、技術者の賃金は下がり待遇は悪化する。

   メンテナンス中心の仕事は単調で、クリエイティブな仕事は多くない。

   ソフトウェア産業全体が3K職場と呼ばれ優秀な技術者の採用が難しくなって

  ゆく。

   個別企業のシステム受託から脱却しようにも、利用者側にパッケージ選択の

  ニーズが薄く市場が広がらず、多くのIT企業がパッケージ開発に参入する事には

  ならなかった。

   また、かって製造業が成長する中で重要な役割を担った輸出であるが、先に述べ

  たように言語をベースとするソフトウェアは、海外への進出はモノづくりより

  難しく成功例は少ない。

   こうして個別企業に繋がる形での受託業務を中心に固定化されたソフトウェア

  開発企業と階層下の企業群があり、これらの障壁を前にして新たなベンチャー企業

  の参入や市場の開発、イノベーティブな産業の広がりは生じなかった。

 (4)ITの人材供給

   ITを利用する一般企業と、ITシステム(ソフトウェア)を開発する企業

  双方にとって、IT人材の供給は大きな課題であり、この3つの要素が関連し

  あって現在の日本のITを形作っている。

   IT人材を供給する仕組みとして十分な体制は整っていたのか。

   そもそもIT人材とはどのようなスキルを持った人たちなのか。

   ソフトウェアはその製造工程をウォータフォールと呼ばれる方式で構成される

  のが長らく主流の考え方で、設計からシステム構築までの工程を流れ作業のように

  組み立てこれに沿って必要な人員をあてがうというものでした。

   設計側を、上流工程と呼び、システム全体の設計や、細分化された個別の

  プログラムの設計などを、SE(システムエンジニア)と呼ぶのは一般にも周知

  されています。

   下流工程でSEの設計にもとづきプログラムを作成するのがプログラマーです。

   多重下請け構造の中では、上流工程を元請け、下流工程を下請けが担います。

   これらの人材の供給する主体となっているのは、日本では専門学校です。

   日本の大学では情報系の学部は少なく、理系の学部の中に存在する事もまた

  文系学部の中にある事もありますが主流ではありません。

   アメリカでは、SEの人気は高く、なりたい職業の上位に位置していますが

  日本では4K職場として学生から敬遠されています。

   ソフトウェアの製造工程は、建築や工場などモノづくりに似た形になっています

  がプログラムの製作はモノづくりというより著作物の制作に近い側面があります。

   また、上流工程に行くほど、システム構築の対象に対する知識が必要です。

   例えば会計システムであれば会計の、経営管理システムであれば経営の知識

  が必要ですが、エンジニアとしての知識と両立させる必要があります。

   日本において情報系学部の立ち位置が一定しないのも、文理の中での位置づけ

  が難しい事があるのかも知れません。

   一方、アメリカの大学は、日本のように文理の区別がはっきりしておらず情報系

  はコンピュータサイエンスとして確立しており、上流工程に対応した文理が融合

  したカリキュラムを学んでいます。

   この文理の枠は、就職先の企業にもあり、技術者ならば技術者のキャリアプラン

  があり、文系はスペシャリストというよりゼネラリストとして様々な職場を経験

  するジョブローテーションを経て出世していきます。

   一般企業に、情報系の採用やキャリアプランはほとんど存在しないのではない

  でしょうか。

   ここに一般企業で情報システム部門が弱体化し、技術力を維持する事の難しさ

  がありまた学生の側でも仮に情報技術のスキルがあってキャリアアップを目指そう

  とするとIT専業のソフトウェア産業を目指すしかありません。

(5)日本の企業文化の特質と企業体制

   そもそも日本では、学生は職業を選ぶのではなく会社を選びます。

   海外では、単純化しすぎかもしれませんが、例えばSEを目指すなら一旦入社

  して同じ職種の中で、転職を経てスキルアップとキャリアアップを重ねていき

  ます。

   必要とあれば、技術を高めるために、大学や大学院に移り、さらに自分の希望に

  あった会社に入り直します。

   こうして自らの技術を高めていき、会社の方も様々な人材が行き来するため

  仕組みが標準化し、業務プロセスやシステムが標準化していきます。

  日本のようにわが社の仕組み、わが社固有のシステムにこだわる事なく、

  パッケージが選択でき、この事が業務プロセスもシステムも磨かれてゆくのでは

  ないでしょうか。

   終身雇用制度の良い面ももちろんありますが、会社固有の文化を作り、他社との

  交流が狭くなり視野が狭くなるという欠点がでてしまったように思えます。

   実は、情報システムだけでなく、営業や会計そして経営さえも、自前の論理から

  抜け出せず、複数の会社を経験し磨かれた本当のプロフェッショナルは育ちにくい

  のではないでしょうか。

   諸外国では、早くにとりいれ経営に革新をもたらしたITが日本の経営者から

  軽視あるいは真の理解に至らないのは経営技術の未熟さを物語っているのでは

  ないでしょうか。

   営業活動にデータを取り入れる事は、今に始まった事ではなく30年も前から

  叫ばれていますが、3K(勘と経験と度胸)の壁に阻まれてきました。

   古いものが新たな優れたものと入れ替わる新陳代謝が進まず、温存される保守的

  な組織、体制、文化がITだけでなく日本の停滞を作っているのかもしれません。

(6)IT化支援の施策、政策

     日本では産業の振興のため政府が関与する印象が強い。

   過去にも半導体産業を立ち上げるために、多くの有力な企業と政府が一体と

  なって基盤を作りのちに日本の成長の原動力になった歴史がある。

   ただこういった政府の積極的関与は過去の話で、少なくともソフトウェア産業

  については同様な印象は感じない。

   想像する事しかできないが、時代の違いがあるのかもしれない。

   これから新しく産業を立ち上げる時と異なり、すでに出来上がった体制の中

  既存の企業体制を守る側に政府があるとしたら大きな変革は期待できないだろう。

  日米半導体摩擦後のアメリカの政策もあるかもしれない。

  日本に限らず、既存の大企業体制が障壁となり新たな変革を妨げる事はどの国にも

  起こりうる事だとは思われる。

   既存の体制を崩すには大きな抵抗があり、また痛みも伴う。

   過去、革命や戦争による体制の変革が、新しい産業が勃興する契機になった事は

  多かった。

   ただアメリカでは、その協力な独占禁止政策が自らの力で、産業の新陳代謝

  促進してきた側面があると思う。

   GEなどの電機産業はすでに力を失い、コンピュータの分野で言えばIBMが

  絶大な勢力を誇ったが、ただハードウェアが中心で世界のコンピュータの標準で

  あったこの企業も、ソフトウェアの企業であるマイクロソフトにその地位を譲り、

  さらにネット上のサービスであるグーグル、アマゾン、フェイスブックが時代の

  中心となり、これにアップルを加えたGAFAの時代と呼ばれている。

   この変化に、アメリカの独禁政策は大きく関与しており、常に既存の勢力が

  固定化する事を、防ぎ新たな産業を立ち上げてきた面も大きい。

   日本では、現在、政府のソフトウェア産業、IT活用に対する施策は弱く抜本的

  な改革には遠いと言わざるを得ない。

   経産省が、2025年の崖として、警告を発するがむなしく感じられる。

   最近になって、デジタル庁の新設など、IT化をデジタル化と言葉を変え、遅れ

  を取り戻すとしているが、日本全体の変革のビジョンと言えるまではいかず、行政

  サービスの改善にとどまる可能性がある。

   問題を矮小化せず、正確に理解した上で、国民的な議論を経て、抜本的な変革の

  ビジョンを打ち立てる時ではないだろうか。

 

調査・研究(11月)-4

 図書館で読み進んだ多くの本。

 関連がなさそうでありそうな記憶を書き残した読書メモから読み解く。

 まとめるにあたってまず全体の構成を考える。

 まず、(1)現状把握がきて(2)次に分析する。いいかえれば現状がどうして

こうなったかの原因を探る。さらに(3)解決策の提起にいたれば完成。

 そこにどう自分なりの色(個性)をつけるか。

 大きく、くくってしまえば世の中に似たような分析はあるかもしれない。

 自分じゃなきゃできない見方、考え方はどうすればなりたつのか。

 一つは、自分の体験がベースになっている事。

 いまだから、ITを論じる人は山ほどいるだろう。

 でも、40年前からの実体験を持っている人は少ないだろう。

 社会や技術を論じる人が大所高所から考えを述べる事はあっても、現場から

40年眺める景色は誰でもが見えてるわけじゃないだろう。

 特に理系の人が多い現場で文系の視点も珍しいと考えた。

 文系の見方というのであれば、ITを使ったビジネス成功例など浅い認識ではなく

またITだけを見るのではなく、自分なりの哲学を持ち、社会や人間の幸せ、未来を

見ている事、経済や社会まで関連を探り、ITだけでない技術全般まで見据えた

日本だけでなく世界まで視野を広げた見方が重要だと思う。

 そしてこれは願望だけれど、冷たい現実の分析だけでなく、救いや未来への希望を

感じるものでなければならない。

 次に留意すべき事も整理した。

 自分に足りないであろう事、及ばない部分をどう補うかだ。

 開発の現場は40年前しか経験が無く、現在どうなっているかは知識からしかわからない事。(私の経験したCOBOLの世界から言語だけでも大きく変化している)

 AIなど最新の動向がわからず、自分の見てきたものがすでに終わったステージでもある事を考えると、そういったたぐいの知識の補充はかかせない。

 図書館で読んだ様々の本も、多くは2005年ごろのIT革命が注目された頃に書かれたものが多い。

 現在、同じ著者はどう考えているか、新しい著作などをフォローする事も必要だ。

 また単に知識を補充するのではなく、自分なりの見方の延長上に、そういった新しいものをきちんと理解し、位置付けていかなければ説得力を失うだろう。

 読者に多くの立場の人を想定した場合、様々の角度から、整理してみないと他人に伝わらない一人よがりの狭い角度から見た見方になってしまう。

 まとめるステップごとにさらに考えてみると

(1)現状把握

  どこまで現状把握の範囲を広げるかによって、分析の幅も変わってくる。

  ITに特化して深堀するか、周辺の技術や産業まで広げてみるか。

  例えば金融など、ITの影響を受ける社会との絡み、IT軽視の原因に絡む

  コスト削減などとの関連も検討しなければならない。

  社会の貧困や、格差、雇用や少子化などへの言及も必要だが、あまり広げると

  内容が薄まってしまい散漫になる。

  日本を中心に見るか、グローバルに見るか、世界のどの地域を見るかによっても

  内容に変化が出てくる。

  時系列で言えば、現状だけでなく、このままいけばどうなるかという

  予測、未来に関わるところまで広げるか、分析に関わるかもしれない過去に

  遡るかも考えどころだ。

  ただ、原因の一つとしてITへの絞り込みは良しとして、結果である日本の停滞

  はもっと広い概念であり、読む人の事を考えると全体から俯瞰するような入り方

  が望ましい。

  また現状把握としては、全体を構成する個々の要素の認識が、正確であるか

  思い込みの産物かを吟味しなければならない。

(2)分析

   すでに頭の中に断片的に存在する原因群を、下記の枠組みで整理、検証する。

   原因の広がりだけでなく、階層的な関係、いわば深さでもとらえる。

  ①IT軽視を日本経済の失敗の構造全体の中で位置づける。

   時系列(80年代の絶頂期から現在までの間)で縦軸として意識する。

   横軸としては、IT以外の技術、科学、産業全般の中で位置づける。

   日本だけでなく世界(特にアメリカ、韓国との比較)でもとらえる。

   大きな流れとしては、IT革命への日本の乗り遅れととらえる。

  ②IT産業が発展しなかった理由

   ITの失敗は2つのセクションに分けて分析し相互の関連性も整理

   しておく。

   一つはこのセクションで「IT産業」を、もう一つは次のセクションで

   「一般企業でのIT利活用」に分けて分析する。

   「IT産業」はさらに

   a)製造業としてのIT産業と(コンピュータや周辺の電子機器)と

   b)ITサービスに分かれるが、ここではb)の分析を中心とする。

   ※製造業の分析は私の及ぶところではないし、他に多くの研究事例がある

    と考えられる。(ただし関連がある部分について言及する事はある)

  ③一般企業でのIT活用が進まなかった事の分析

   自分がいた現場であり、ある程度考えてきた範囲である。

   ただ、②「IT産業」との関連は十分考えなければならない。

  さらに、IT開発、利用ともに高度IT人材の供給という意味で

  教育の影響は大きい、自分が関与してきた分野でもある。

  他に政府の政策や、さらに深い背景にある日本人、日本文化も考えざるを得ない。

  以上を踏まえて、ここまで読み込んだ知識や自分の中にある考えを

  一旦まとめてみようと思う。

(3)解決策

  一旦(2)の分析までをまとめた上で、この先でまとめる事とする。

 

⇒(1)現状把握と(2)分析の要素(キーワード)を一旦A3の紙に羅列し

    その関係を線で結び図にする事で、整理し文章に構成したものを自分

  の研究の骨格として次のブログにまとめてみる。

 

  

 

調査・研究(11月)-3

日本におけるITの軽視が、日本の衰退につながった。

この事を確認するがために図書館に通い、関係ある本を読み漁る事を始めた。

まず、日本社会の衰退に関する最新の著作を探した。

これは、新しいものでなくてはならないので、図書館ではなく、本屋で探した。

この中で、ITがどう取り上げられているかを確認したかった。

金子勝;「平成経済衰退の本質」)

やはり、ITは一つの要素としては、取り上げられていたが、他の要因、例えば

少子化、格差、産業政策、雇用、金融など多くの要素の一つとしてであり、また

ITの専門家ではないので、日本の衰退との関連付けは自分としては、もう少し

書かれている事を期待していた。

 このところ日本の衰退らういは停滞を取り上げた出版は目立ちだしており

他に立場の違うもう一冊を購入して比較した。

野口悠紀雄;「平成はなぜ失敗したのか」)

 いづれも深く納得させられたが、このように社会全体を俯瞰できる方には、ITの世界とは少し遠い位置におられる気がした。

 これ以降は、そんなに多くの本を購入できないので、主として図書館にシフトして

関連した書籍を探していった。

 図書館で最初に探して目についたのは、ITを社会学の立場からどう理論づけているかという観点で書かれた一冊だった。(公文俊平;「情報社会学序説」)

 →新たな産業革命としての位置づけ

 また、公的な立場から、事実は何かどう位置付けられているかという観点から参考になったのは「情報通信白書」であった。

 その後、読んでもなお最初の疑問に回答が得られない中、次々に普段ではまず読まないような論文に近い本も、読み進み、要点をメモにとっていった。

 ・「失われた10年は乗り越えられたか」下川浩一

   →製造業を中心に言及されているが、その中にITも含めている

 ・「IT全史」中野明

   →通信を含めた世界史的な流れ(やはり産業革命との関連)

 ・「日本経済の生産性革新」宮川努 2005

  「情報技術革新と日本経済」西村清彦、峰滝和典 2004

 ・「人工知能は日本経済を復活させるか」柳川範之 2017

 ・「日本経済競争力の構想」安藤晴彦、本橋一之 2002

 ・「文系でもわかる人工知能ビジネス」EYアドバイザリー 2016

 ・「AI・ロボット開発、これが日本の勝利の法則」河鐘基 2017

 ・「AIの衝撃 人工知能は人類の敵か」小林雅一 2015

 ・「よくわかる情報システム&IT業界」新井進 2003

 ・「ソフトウェアビジネスの競争力」ソフトウェア産業研究会 2005

 ・「ITという怪物」常見陽平、今野春貴 2013

 ・「クラウド化とビッグデータ活用はなぜ進まないのか」柴田英寿 2012

 ・「新所得倍増論」デービット・アトキンソン 2016

 ・「新生産性立国論」デービット・アトキンソン 2018

 ・「ITに巨額投資はもう必要ない」新生銀行Jメソッドチーム 2011

 ・「ソフトウェア最前線」前川徹 2004

 ・日経ビジネス10/7目覚めるニッポン

 ・「ソフトウェア社会のゆくえ」玉井哲雄 2012

 ・「アップル・グーグル・マイクロソフト」国嶋祐史 2010

 ・「アップルとグーグル」小川浩 林信行 2008

 ・日経ビジネス12/16 ビルエモット

 ・「アップル、アマゾン、グーグルの競争戦略」雨宮寛二 2012

 ・「マイクロソフト 再始動する最強企業」土坂徹 2018

 ・「ITコンサルティングの基本」克元亮 2009

 ・「プログラミング教育はいらない」国嶋祐史 2019

 ・「ソフトウェアを他人に作らせる日本、自分で作る米国」谷島寛之 2013

 ・「社長が知りたいIT50の真実」矢島寛之 2016

 ・「学校にコンピュータは必要か」教室へのIT投資への疑問 L・キューバン 2004

 ・「間違いだらけのシステム開発」ウルシステム 2006

 ・「日本のマクロ経済政策」熊倉正修 2019

 ・「よみがえれ中小企業」藤利彦 2001

 ・「ITシステム開発はなぜ失敗するのか」日下ヤスユキ 2015

 ・「プロジェクトはなぜ失敗するのか」伊藤健太郎 2003

 ・「甦るIT投資」NTTデータビジネスコンサルティング 2006

 ・「日本は世界一の政府資産大国」高橋洋一 2013

 ・「電子自治体」井熊均 2001

 ・「電子自治体実践の手引き」榎並利博 2007

 ・「国運の分岐点」デービット・アトキンソン 2019

 ・「日本人の勝算」デービット・アトキンソン 2019

 ・「ITケーパビリティー国領二郎 2004

 ・「官僚たちのアベノミクス軽部謙介 2018

 ・日経コンピュータ9/17 これが日本のDX

 ・日経ビジネス9/21 脱デジタル後進国

 ・日経コンピュータ10/1 ロボット共生社会

 ・「働き方の問題地図」沢渡あまね 2018

 ・日経コンピュータ10/29 デジタル敗戦からの復興

 

これが2019年4月から2020年10月までに、主に図書館で読んだ関連本の一覧だ。

徐々にあるいは、一時的な傾向として読む本の傾向が変わっていくのが後から

みればわかる。

最初は純粋に、真実を求めて読み進んだ。

生産性がキーワードかと思ったり、自分としては知識が不足しているソフトウェア開発の現場に関する知識を求めた。

そのうち、日本が遅れたとする相手、アメリカの何が進んだのかと考え、いわゆる

GAFAの事を深く知りたいと考えた。

その中に、自分の就職が絡み、就職あるいは求職先の自治体、教育関連、コンサル

関連の本は随分挟まっておる。

生産性という観点においてITにも言及していたデービット・アトキンソンさんの

本は、現在、随分注目されているがITに関する見方も賛同できる部分が多かった。

その延長線上で、日本の借金や財政にも関心を持った。

自分のIT知識を磨き、現状からも乖離しないために日経コンピュータや日系ビジネスはかかさず見ていた。

一見場当たり的で関連が薄いように見えるそれぞれの本がどこかでつながっているような気がしていた。

自分の中で何かつなげようとしていたという言い方が適切かもしれない。

これらのつながりをいったんどこかでまとめなければならない。

無駄になってしまうと考えたのは19年の10月後半になってからだった。

 

  

 

 

調査・研究?(11月)-2

11月のテーマは、「趣味」として書き始めたが、趣味を語れるほど深入りした事は

ない。

しかしリタイア後の生活の目標と軸として、出版があり、その背景には、調べる事が

好きだという事があった。

いままで何となく気になっていた事をリタイアを機に、深く掘り下げたいと考える人は

少なくないだろう。私は、毎日図書館へ通う事が、仕事に替わる日課になった。

それを「調査」という言葉で表現してもいいのかもしれない。

ただ、何の目的もなくただ調べるでは意味を感じない。

何かの方向性があって、最後には調査した事をまとめたい。これを何というか。

「学ぶ」とも少し違う。誰かの後追いではなく、自分のオリジナリティー、世の中に

無かったものを新たに生み出す事、これを少し大げさではあるが自分の中では「研究」と表現するようになった。

出版という真似事だが、一つの成果を生み出した。その中で自分の仕事を通じた人生をまとめた。

その中で自らが関わったITの世界に対する見方や気づき、考えたかとを軸にこの1年興味にまかせて掘り進んだ。

だいがくの研究室とは違う現場からの気づきをベースにした調査であった。

またITもよくある開発者の立場からではなく、利用者としての気づきにこだわった。

19年の4月に退職後、まず考えたのは自分は何を知りたいのかという事。

自分の思いとその背景になっているものを見つめる事から始めた。

自分はITを仕事としてきた。これだけだったから今の時代デジタルと言い換えて

ある意味、目立つ部分があるかもしれない。

しかし自分が始めたのは、40年も昔の話、決して最先端ではない。

しかも、文系で、意図せず、この仕事にぶつかった。

にも拘わらず最初からシステム開発に携わった。

ただ当時から、ソフトウェアの世界は、ホワイトカラーでもブルーカラーでも無く

グレーカラーと呼ばれていて決して華やかな世界ではなかった。

同期入社でも営業に配属された仲間は、各地を飛び回り、銀座で交際費を使っている

間、こちらは、プログラムのミスに追われ夜遅くまでマシン室と机の往復に終始。

職場内でも、中途半端な技術力なのか、開発の本流ではなく、社内の利用部門との

やり取りや、パソコンの普及に伴い社内への講習会や、PCの発注などのむしろ

ITを利用する側の仕事にシフトしてゆき気が付けば、ITの中心から少し外れた位置で40年過ごし65歳まで過ごしていた。

そういう少し屈折した思いが背景にあるのかもしれない。

ただ、そこからしか見えないものがある。

システムの開発からはじまり、PCの導入など、ITの利用の側面、最後には教育の

現場までITの周辺を幅広く経験させてもらい幅広く物事を見る事が出来た。

この40年、ITの周辺に居続けて、その変遷を見続けてきた。

自分は、システム開発からいち早く外れてしまったが、その後、社内から開発業務は

アウトソースされ、情報システム部門全体が、PCの発注部門のようになってしまい技術力を失ってゆく。

これは、自分の会社だけではない事は、容易に理解できた。

コスト削減の中で、間接部門としての情報システム部門が、経営者からいかに軽視されてきたかを実感してきた。

ほぼ平行して、日本自体の衰退が見えてきていた。

この関連についても、考えない訳にはいかなかった。

ただ、その事を明快に理論づけて説明ができない。

それが、この「調査」という行為のきっかけであった。

何を調べたかったのか、何を知りたかったのかと問われれば、こういう事だったのかと考える。

この為に、関係ある本を読み漁る事から始めた。

 

 

番外編(2021/1)リアルな今

 退職後の1年を振り返り12カ月の月ごとにそれぞれテーマをつけてリタイア生活のあれこれをまとめています。

今回は、振り返りではなくリアルタイムの今を書いてみたいと思います。

世の中はコロナ第3波で緊急事態宣言が再び出るかという初詣にも行きにくい正月三が日です。

定年後の再就職も一つのテーマとして取り上げていますが、実は11月から働いています。

しかもフルタイム、但し4カ月の短期勤務、いいのか悪いのか判断は分かれるけれど

少し退屈な毎日に区切りをつける事はできている。

おかげでこのブログももう3カ月ほどお休みしていた。

ブログと言っても、各テーマについては、少しばかり内容を持たせるために、構成を考え、ネタを整理し、少しばかり熟成させているので時間がかかる。

そこで今回は、あまり時間をかけずに、かつリアルな気持ちを表現するため、このアルバイトについてどんな気持ちでやっているか書いてみたい。

実は66歳という事もあり、またコロナ禍でもあり、いくつかの就職チャレンジは今までうまくいっていない。(詳しくは、番外編ではなく、求職をテーマにした月で紹介)

短期でもなにもせず毎日を過ごすより良いかと応募した。

これをきっかけに似た仕事に繋がる事もあるし、仕事を通じて今の世の中が垣間見える事にも興味があった。

公務系で、今だけの臨時の業務だけど思い切り事務の仕事ではある。

また、このコロナ禍に通勤電車に長い時間、揺られて都心に通っている。

もちろんみんなマスクをしている事と意外とすいている事を実感した。

リタイア後は、散歩で駅周辺に近づいても、電車に乗る事は少なく、勤めに向かう人々とは別の世界に取り残された感じがしていたが、今はその人たちの中に戻っている。

定期を持つことが妙にうれしい。

都会に毎日出かける事も、すごく新鮮だ。

自分が通っていた町とは、また違うあまりなじみのない街で、毎日昼をどこで食べようか昼休みはどこまで足を延ばそうかかんがえるのも楽しい。

朝は今まで毎日8000歩歩いていた習慣もあり、人駅手前で降りて30分近く歩く。

帰りも元気があれば同じようにあるく。

まるで遊んでいるようだが、実は仕事もしっかりこなしている。

朝から、定時までほとんどわき目も振らず今までなかったぐらいの集中度で仕事に向かっている。

働き始めた頃は、脳が急に活性化したように感じた。

基本的に書類を見て、内容を確認し、EXCELやWordを打ち込みメールのやり取りを

繰り返す定型的な作業だ。

ITコンサルなど目指していた仕事とは程遠いが、土地勘はある仕事なのでそれ程

おじけづく事なく毎日をこなしている。

ただ、視力、知力?は衰えていて事務処理スピードは、周りに比べれば見劣りする。

しかしあまり気にしていない。4カ月の仕事だ。